こんにちは、たっきーです!
前回に引き続き、『最高の戦略教科書 孫子』(守屋 淳 著)の紹介です。
ビジネスにおける、競合他社との比較方法が知りたい!
あなたのそんな悩みを解決します。
- 『最高の戦略教科書 孫子
』の要約と所感 - 競合他社との比較方法
それでは、早速いきましょう!
孫子の兵法とは?(かんたん振り返り)
「孫子」については、前回の記事で解説しました。
- 「孫子」とは、2500年前に「孫武」によって書かれた戦の指南書(兵法書)
- 競争状態での原理原則を学べるため、ビジネスや受験に活かせる(経営者に愛読者が多い)
- 「戦略」を体系的に学べる(孫子の基盤は「戦わずして勝つ」)
上記に加えて、ビジネスでの外交戦略について、M&Aを例に解説しています。
外交戦略の結論として「競合と自社を正確に比較すること」が必要不可欠であることを述べました。
これが孫子でもっとも有名な言葉につながります。
『彼を知り、己を知れば、百戦して殆うからず(謀攻篇)』
(彼を知り、己を知るならば、絶対に敗れる気づかいはない。)
守屋淳.最高の戦略教科書孫子.日本経済新聞出版社.
経営者の座右の銘として、よくあがる言葉ですね
競合他社との比較方法
つまるところ、彼の何を知り、己の何を知れば良いんだ?
この疑問に対し、孫武は「五事七計」を提案しています
戦の基本要素である”五事”
孫武いわく、戦の基本要素は次の5つです。
- 道:民と意を同じくすること(一心同体の理念)
- 天:陰陽、寒暑、時制のこと(時間的条件)
- 地:遠近、険易、広狭、死生のこと(地理的条件)
- 将:智、信、仁、勇、厳のこと(将軍の器量)
- 法:曲制、官道、主用のこと(軍政の条件)
引用:守屋淳.最高の戦略教科書孫子.日本経済新聞出版社.
比較項目である”七計”
五事をもちいて、7つの比較項目を検討します。
- 主、孰れか有道なる(責任者が戦いの理由を下まで伝えているか?)
- 将、孰れか有能なる(将軍はどちらが有能か?)
- 天地、孰れか得たる(天の時と地の利はどちらに有利か?)
- 法令、孰れか行わる(法令の徹底さ、兵器・兵站はどちらが優れているか?)
- 兵衆、孰れか強き(軍隊はどちらが精強か?)
- 士卒、孰れか錬いたる(兵卒はどちらが訓練し組織されているか?)
- 賞罰、孰れか明らかなる(賞罰はどちらが公平か?)
引用:守屋淳.最高の戦略教科書孫子.日本経済新聞出版社.
これを現代版で考えると、次のように捉えることができます。
(ここからはたっきーの個人的見解を含みます🙇♀️)
現代版”五事七計”を考えてみた
① 主、孰れか有道なる
「企業理念(目的)が社員の隅々まで伝わっているか?」
ゴールを理解できずに努力することほど、無駄なことはありません。
目的が共有されていれば社員が迷った時の指針となりますし、その意味でたびたび原点に立ち戻る機会も必要でしょう。
特に若手社員のころは、目の前のタスクをこなすことに必死で「本来の目的」を忘れがちです。
目的の再確認により「自分のタスク」が「会社としての目的(利益)」につながっているという認識を強め、社員のモチベーションを底上げします。
個人の目標達成にはノートを活用した手法もあります
② 将、孰れか有能なる
「まとめる立場・リーダーは有能か?」
すべて下に丸投げのリーダーは最悪ですが、すべて自分でこなしてしまうリーダーも残念ですよね。
信頼されるリーダーには「① の目的意識の共有」の巧い人が多いです。
以前の職場で、仕事を振るときに必ず「目的」を添えて渡してくれる課長がいましたが、今でも最高の上司だと思っています!
③ 天地、孰れか得たる
「市場のシェア争いにおいて、タイミングがよく、市場優位性はあるか?」
青汁王子も自身の書籍で「ビジネスとは領土の奪い合いである」と表現していました。
成功者の発言で「自分は運が良かっただけです」という言葉をよく耳にします。
おそらくビジネスには自分では操作できない「タイミング」という要素が含まれているからではないでしょうか。
仮に今から日本でLINEと同じサービスを、まったく同じ手法で立ち上げても上手くはいかないでしょう。それこそが先行者利益ですね。
④ 法令、孰れか行わる
「大企業や中小企業といった兵力差があるか?」
中小企業が真っ向から大企業に対抗しては、兵力差(社員数、資本金、出資額)でまず勝てません。
スモールビジネスを始めるならニッチ戦略が有効とされていますが、たとえばブログ運営なら雑記でなく特化が有利といわれているのも同じ理由です。
⑤ 兵衆、孰れか強き
「社員たちは精強か?」
「精強さ」と言われてもピンとこないので、ひとつの例として「自衛隊」を取り上げましょう。
自衛隊員は入隊後、3ヶ月にわたり「掃除」を教育されます。
理由は、清潔に保ち、物を大切にする精神を鍛えるため。
軍事では『装備を見ると、その部隊の精強さがわかる』といわれているそうです。
”整える”以外にも、実は「小さな変化に気づきやすくなる」という実用的な利点もあります(装備の不備に気づくなど)。
参考文献:キレイな軍隊は強い 自衛隊が掃除を重視する理由
同じように、ビジネスにおいても”整える精神”は認識以上に重要であるケースが多いです。
採用面接で「経験やスキル」よりも「身だしなみや清潔感」が重視されるのが、よい例でしょう。
⑥ 士卒、孰れか錬いたる
「社員の教育が徹底されているか?」
自己成長を促すプログラムがある企業には魅力を感じます。
父が以前勤務していた職場では、ある資格を取得すると月給に+1000円されるという制度があったそうです。金額は小さくとも、毎月だと嬉しさは大きいです。
「資格取得を推奨する」企業が多いですが、「資格取得で手当を出します」に変えれば、社員のやる気は雲泥の差です。
⑦ 賞罰、孰れか明らかなる
「力を発揮しやすい環境が整っているか?」
公平であることこそ、真に力を発揮できる環境といえます。
社員の立場からだと、「労働に対する対価・待遇が公平じゃない!」と感じるケースが多いですよね。
個人的には、仕事を変えるタイミングはたいてい、お金か人間関係の改善を試みるときだと感じてますが、同じ意見の人も多いのではないでしょうか。
まとめ
競合他社との比較方法
競合他社との比較方法
- 主、孰れか有道なる 「企業理念(目的)が社員の隅々まで伝わっているか?」
- 将、孰れか有能なる 「まとめる立場・リーダーは有能か?」
- 天地、孰れか得たる 「市場のシェア争いにおいて、タイミングがよく、市場優位性はあるか?」
- 法令、孰れか行わる 「大企業や中小企業といった兵力差があるか?」
- 兵衆、孰れか強き 「社員たちは精強か?」
- 士卒、孰れか錬いたる 「社員の教育が徹底されているか?」
- 賞罰、孰れか明らかなる 「力を発揮しやすい環境が整っているか?」
マンガ版もあります
サクッと読みたい方向け
たっきーの所感
五事七計とは、全13篇からなる孫子の中で、第1章である「始計篇」に記されています。
始計篇とは、「そもそも戦うかどうかをよく考えよう」という内容が書かれている部分です。
現代はコロナ禍で副業ブームですが、副業のジャンルはさまざまありますよね。
- そもそも戦うべきか?(=そもそも副業するべきか? 稼げるの?稼げないの?)
- どこで戦うべきか?(=何の副業をするべきか? ブログ?せどり?動画編集?アンケートモニター?…)
- どう戦うべきか?(=せどりなら、楽天?Amazon?メルカリ?)
いろいろ迷った方は、ノウハウに一直線!とならず、原理原則に立ち戻るのもいいかもしれません。
今後も多くの方に「最高の戦略教科書 孫子
今回ご紹介した書籍はこちらです